外国為替市場で取扱う外貨
各外貨の特徴をチェック
FXで主に取扱われる外貨通貨の特徴です。短期売買なのか長期保有なのか、為替差益狙いなのかスワップ金利狙いなのかなど、自分の投資スタイルによって適した通貨があります。
米ドルやユーロは全般的によく取引されていますが、スワップ金利狙いで、高金利な南アフリカランドやトルコリラの取引も急増しています。
しかし、政治上の不安定などが通貨のレートに影響しやすく、ボラティリティ(価格の変動率)が大きいので注意が必要です。
米ドル
米ドルは為替市場の基軸通貨。石油や国際業務決済に使用されるなど大きな役割をしています。
アメリカの株価など経済情勢や軍事情勢に影響を受けやすく、よく「有事のドル買い」といわれましたが、9.11のテロ以降は有事のドル売りとなる傾向もあります。流通量が最も多く、取引しやすい通貨といえます。
ユーロ
ユーロはヨーロッパ圏で広く使用される通貨です。EUは経済地域としても中東、アフリカ圏に近く、また人口やGDP、貿易高などがアメリカ同レベルに達しているため、ユーロがUSドルに変わる基軸通貨となるとも言われています。
しかし現状ではEUの財政政策は国別に行われているため、不安定要素も多く各国の動向に注視する必要があります。
ポンド
ポンドはイギリスの通貨です。ユーロが誕生しても加盟せず、独自路線を進んでいる通貨です。
米ドルと逆の動きをすることが多く、ユーロと似た動きをしますが流動性が低いため値動きが激しく、読むのが難しい通貨といえます。投資というよりも投機の対象となりやすい、ハイリスクな通貨です。
豪ドル
豪ドルは鉱物など豊富な資源が多く、どれだけ輸出をできるかが鍵となる資源国通貨です。
今後は中国やアジア諸国との貿易も拡大するといわれ、継続的な成長が見込めると言われます。以前は高金利でスワップ目的の中長期的なFXに人気でしたが近年は米ドルより金利は低いです。
NZドル
NZドルは地理的にオーストラリアに近く最大の貿易先となっているため、豪ドルと似た値動きをする傾向があります。
主な資源が農作物なので、天候に影響を受けるといえます。また、経常収支や貿易収支が慢性的に赤字のため、その動向に注意する必要があります。
カナダドル
カナダドルは経常黒字国で経済成長率も高く、値動きが安定しており優等生通貨と呼ばれています。
石油やパルプ、天然ガスなどの資源が豊富な資源国通貨で原油価格などが上昇した時に買われる傾向があります。
米国との貿易が多くを占めることもあり米ドルに近い値動きをすることもあります。
南アフリカランド
南アフリカランド(南アランド)の通貨は、高金利で取引単位が低いことから少ない資金で取引できることもあり、中・長期運用のスワップ派に人気の通貨です。
南アフリカは世界最大の金やプラチナの産出国であることから、金の価格動向に為替相場が影響されるといった傾向があります。
経済発展が見込まれる通貨である一方、高い失業率、人種差別などのリスクにも注意する必要があります。また、取引量が少ないため値動きが激しいことにも要注意。
トルコリラ
トルコリラ は高金利からスワップ派の注目を集めている通貨ですが、他の通貨と比べても、リスクが高い通貨といえます。
マイナー通貨であるため情報が少ないこと、また市場での取引量が少ないため、価格変動(ボラティリティ)が大きいことにも気をつける必要があります。
アイスランドクローナ(ISK)
アイスランドクローナは高金利で、しかも国債の格付けがAA(S&P)と信頼も高い国です。国民一人当たりGDPでは世界でもトップレベルの経済力を持っています。
主な産業は漁業ですが近年は金融部門が成長しており、財務体質も良好で1998年以降は黒字となっています。
ノルウェークローネ(NOK)
ノルウェークローネはユーロとの関連が強いとされ、国際的にも安定した通貨の一つといわれています。
ノルウェーは産油国で、原油の輸出はサウジアラビア、ロシアに次ぐ規模です。また天然ガスの輸出国でもあり、コモディティ通貨(=資源国通貨)として知られています。
財政収支、貿易収支も継続的に黒字となっています。
スウェーデンクローナ(SEK)
スウェーデンクローナは北欧スウェーデンの通貨です。スウェーデン・クローナは、欧州景気に左右されやすく、ユーロとほぼ同じ値動きを辿る特徴があります。
なおEUには加盟していますが、統一通貨であるユーロには参加していません。
豊かな福祉国家である一方、税負担の大きいことで知られる国です。財政赤字もなく安定的な成長率を保っています。
主な産業は農業のほか製造業で、高い技術力を生かした製品の輸出が経済を支えています。通信機器メーカーのエリクソンや家電のエレクトロラックス社が有名。
シンガポールドル(SGD)
シンガポールドルは通貨バスケット制度が採用されており、変動幅が一定の枠内に収まるようシンガポール通貨当局で運営されているため、ボラティリティ(変動率)が安定している特徴があります。
ただ、シンガポールの経済成長につれ通貨は徐々に切り上がっており、政府もそれを容認しています。主な産業は製造業で、輸出の6割は機械製品が占めています。
2001年のバブル崩壊以降は、製造業の回復を主軸にプラス成長を続けています。
メキシコペソ(MXN)
メキシコペソは中南米という地理的な条件からアメリカの政治・経済に影響を受ける通貨です。主な産業は石油で原油価格の動きにも連動しやすいのが特徴です。
他の通貨と比べ対円でのレートが低いので、少額から投資しやすく、またボラティリティ(変動率)が低いため、短期で為替差益を狙うよりはインカムゲインを狙う中長期の取引に向いているともいえます。
香港ドル(HKD)
香港ドルは、ドル・ペッグ制(米ドル通貨との為替レートを一定に保つこと)を採用しており、米ドルの動きの影響を受ける特徴があります。
また中国との経済の結びつきが強く、人民元の代替通貨として利用されることもあることから、中国経済や人民元の動向にも注意が必要です。
スイスフラン(CHF)
スイスフランは「避難通貨」として知られる通貨です。永世中立国であるため、地政学的リスクも低く安定しており、今では「有事のスイスフラン買い」という言葉が定着してきたほどです。
スイスは輸出依存度が高く、日本に次ぐ低金利通貨で金利は低め。ユーロとの相関性は低いといわれます。また、隣国であるドイツ経済の動向や原油相場の影響を受けることもあります。
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